融雪装置は基本的に融雪槽を選んでおけば間違いないことは何度か記載していますが、その融雪槽でもメーカーによって設備・仕様はさまざま。では、どのような機械を選べばいいのでしょうか?
今回はどのような機種を選べばいいのか、記載していきたいと思います。
目次
強制排水ポンプ付きが理想
融雪槽には自然排水式と強制排水ポンプ付きがあります。
自然排水式の融雪槽は排水ポンプ設備がないので、価格も安く、その分故障もないので一見いいように感じるのですが、ここには欠点があります。
融雪槽内で水の上に雪が浮く
強制排水ポンプ付きの融雪槽は水位が一定に保つように作られています。(メーカーに寄りますが、下部より50cm~80cm程度の水位を保っている機種が多い)
雪は水より軽いので、水位が高い商品はあまり雪が入らず、水の上に浮いてしまうことになります。結果、溶け終わるまで待ってから再度雪を投入しなければならないことになります。
特に、自然排水式の場合は、融雪槽の半分以上水につかっていることが多いのです。結局容量が大きくても雪があまり入らないことになります。
万が一融雪槽内に転落したことを考えると…
融雪槽の中に水が多く入っていた場合、万が一子供が転落すると、溺れる等の事故に発展する可能性があります。強制排水ポンプ付きの商品であればこのようなことはないでしょう。
安全面を考えると融雪槽内の水位が低い機種の方が安全です。
安全梯子はついているか
融雪槽は雪を大量投雪できるように、本体を大きく設計しています。
蓋の大きさもメーカーによってさまざまですが、清掃等できるように人が簡単に入れるくらいの投雪口を設けています。融雪能力の観点から考えると、梯子があると梯子が邪魔して均一にシャワーができないため、若干の融雪能力ダウンとはなるのですが、万が一転落した場合のことを考えると、梯子は必ず設置されていなければなりません。
深い融雪槽で2mを超えるものまでありますので、梯子の有無の確認は絶対必要です。
転落防止ネットなどが標準装備されているか
転落防止ネットを設置しているメーカーが増えていますが、現在でも標準設置されていないメーカーが未だに多いのというのが実情です。
このように安全対策を十分されていない機械で事故が起こると、ひとくくりに「融雪装置は危ない」というレッテルを張られてしまう可能性があります。業界内では積極的に取り付けするよう勧めているところもあるようですね。
投雪するにあたり、じゃまになる転落防止用のネットですが、面倒でもできるだけ取り外さずに使うようにしましょう。融雪装置廻りは水が跳ねたりして投雪口部分は非常に滑りやすくなっています。
またメーカーによっては形状を工夫し、大きな雪を簡単に投雪できるようになっている独自開発の転落防止ネットを設けているものもあります。
安全対策をしっかりされている商品を選定したいですね。
融雪槽の理想材質はFRP製品
融雪槽のメイン材質はFRPかコンクリート製品がほとんどです。(中には水が常に入っている商品で鉄で作っている商品もありますが…)
一昔前はコンクリート製が多かったのですが、近年は圧倒的にFRPが多くなっています。
その理由は…
- 修理等必要になった場合でも簡単に修繕できる。
- 軽量、高強度のため、埋設作業がコンクリート製に比べ簡単
- 軽量なため、施工も簡単、結果工事費の軽減になる
- 蓋を傾斜地に合わせ切断し、簡単に調整できる
このように圧倒的な施工性の良さ、軽量であり修繕が容易であることが採用の理由でしょう。いざとなったらDIY好きの方なら自分で修理できる商品です。FRP補修キットはホームセンターで売っていますしね(笑)
追加工事も容易
設置後思ったより溶けるのが遅くてより溶けるようにしたい!という場合でもその場で簡単に加工、穴あけ、追加配管工事ができます。ここがコンクリート製では簡単にできない大きなメリットと思います。
融雪槽はゆっくり雪を溶かす商品なので、融雪能力アップの追加工事をすることはないとは思いますが、FRP製の融雪槽では追加工事も簡単にできるということを覚えておいていただければいいと思います。
FRP製品の注意点
FRPは先に説明した通り高強度・軽量の万能材料なのですが、それ以上の負荷がかかると当然壊れます。
これは融雪機を含め、どの融雪商品も同じなのですが、どこのメーカーも普通乗用車レベルのものが乗っても壊れないような設計になっているはずです。
FRP製品で故障する場合は大きなダンプなどが融雪槽本体の上部に乗り、重量に耐え切れずに壊れてしまう場合が多いです。
一般家庭の敷地内に入る重い自動車は灯油配達の運搬車が考えられます。設置する場合は大きな車が乗らないような場所に設置することも検討した方がいいでしょう。もし危険だと感じた場合はホームセンター等で売られている三角コーンを立てるだけでも十分な対策になります。
総評
融雪槽は低ランニングコストで雪を溶かせるので、どの商品でも同じような考えになりがちですが、安全対策を無視した商品が売られているのも事実です。
価格が安いものはポンプがついていなかったり、転落防止のネットや梯子がないものなどもありますので、十分カタログ等確認の上、購入してください。